かつてヨーロッパのナマズは(乱獲されて数が激減するまでは)非常に大きくなり、不穏な噂が絶えなかった。いわく人間の子供やイヌが食べられてしまったという。
 ハンガリーで川に落ちた二人の女の子が巨大なナマズに呑み込まれ、ブリガリアでも捕獲した大きなナマズの腹から若い女性の死体が見つかったことがある。
 19世紀にはロシア西部のドニエプル川で長さ4.7m、体重336kgもあるものが捕獲され、世界最大の淡水魚とされていた。しかし最近では2mを超えるものは稀になっている。

長さ(m) 備 考
3ルーマニア
ウクライナ(1918)、256kg
2.85ルーマニア、170kg

 ドイツ東部、ポーランドとの国境近くの小さな湖でここ数年、1.5mほどのナマズが目撃されていた。そして最近、ダックスフントが水中に引き込まれて呑まれてしまったと伝えられる(Berliner Kurier newspaper)。ナマズは人手によって湖に放たれたものらしい。このナマズを捕獲しようとの試みはこれまでのところ失敗している。

 オランダの Kempervennen ではオオナマズ Big Mama がダイバーたちを脅かしている。2.3mのヨーロッパオオナマズは1日に2、3羽のカモを食べる。時には小型のイヌが襲われた記録もある。しかし人を食べるわけではないと現地のダイビングスクールの Remco Visser はいう。
 セントラルパークの管理事務所ではパトロールをおこなって夜間にフェンスを越えて侵入し、ナマズを捕獲しようとする者を取り締まっている。このあたりのオオナマズは、豊かな水量と餌に恵まれていて非常に大きくなるという(ANANOVA)。




夏の行楽地に巨大なナマズの影

 ドイツ・ベルリンの Schlachtensee 湖では水浴中の人々がナマズらしい巨大な魚に咬まれるという事件が起きている。
 友人と共に湖に来ていた17歳の Katharina Saxe が脹ら脛を咬まれ、長さ17cmの裂傷を負う事件があって以来、現地の人々はオオナマズ Wels を警戒して湖に入るのを止めているという。
 被害を受けたのは彼女一人ではなく、Jonas Wegg という近在の若い男性も夜間に泳いでいてやはり脹ら脛を咬まれている。またオオナマズの専門家 James Holgate は少女が受けた傷から推して当のナマズは1mくらいのものだろうという。ドイツでは2000年に Rottenburg で長さ239cm、体重89kgのオオナマズが捕獲されている(SPIEGEL)。

 現在のタイトルホルダーはタイからベトナムにかけての川に棲むメコンのナマズ Pa beuk で長さ2.5m、胴回り1.7m、体重180kgに達する。かつては3m、242kgもあるものがいたという。
 このナマズはごく稀な種類で、たとえばラオスでは毎年4月から5月にかけて少数が捕獲されるだけである。1974年には14頭しかとれなかった。これらの体重は135〜200kgだった。
 タイには別にメナムのナマズ Pla tepa が棲んでいてこれも3mに達するものがあった。しかし最近では1.5mを超えるものは珍しくなってしまった。

 ロイターによれば、タイ北部のメコン川で長さ2.7m、体重293kgもあるナマズが捕獲された。2005年6月29日、WWF(世界自然保護基金)とナショナル・ジオグラフィック・ソサイエティが明らかにした。
 WWFの Zeb Hogan 博士はこのナマズを確認し、近年における世界最大記録であると言明した。
 地元の環境保護団体と政府関係者は、魚を放すよう交渉していた。ナマズがタイ北部でさらに繁殖を続け子孫を増やせるようにするためだ。しかし魚は死んでしまい、村人たちに食べられてしまった(MSNBC)。
※ このニュースは Mas さんから知らせていただきました。

 アマゾン川にも大型のナマズが生息している。なかでも Piraiba とよばれる種はヨーロッパの Wels や東南アジアの Pa beuk と並んで世界最大の淡水魚だとさえいわれる。一説では320kgに達したものがいたそうだが、公式記録は116kgだというからかなり過大か(bassmex.com)。

アラパイマ Arapaima

 ヨーロッパや東南アジアの巨大ナマズに匹敵する淡水魚が南米のアラパイマ(現地名 ピラルク Pirarucu)でオリノコ川やアマゾン川に棲んでいる。これも世界最大の淡水魚とよくいわれる。
 19世紀の初めブラジルを訪れたドイツ人の探検家 Schomburgk はリオ・ネグロの現地人から長さ4.5mもあるアラパイマを仕留めたことがあると聞いた。しかし彼はそんなに大きな魚を見ることはできなかった。

長さ(cm) 体重(kg) 備 考
3m200 ブラジル、リオネグロ。Haseman による
247147 ブラジル、リオネグロ。Schomburgk による
21875 アマゾン上流。ハーバード大学比較動物学博物館
213112 同上
21392 1947年、ガイアナ。Edward McTurk による

 実吉達郎氏によるとピラルクはたいへんおいしいらしい。
 サケの切り身くらいに切って吊したり、板の上に並べたりして、やや軟らかみが残るくらいまで干し上げ、焼いて食べる。黄色い肉で、塩が効いて鱒の燻製に似て実にうまい(アマゾン動物記、1964)。
 これを読んでるだけで食べたくなってくるが、21世紀になってもアマゾンは遠い。

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